有明海・・・その姿

有明海鹿島市の東に広がる有明海は、総面積約1,700平方キロメートルで東京湾や伊勢湾とほぼ同じくらいの内海です。

水深は深いところでも20数メートルの浅い海ですが、有明海の一番の特徴は、潮の満ち引きの大きなことと、そこに広がるとてつもなく広大な干潟でしょう。そしてそこに棲む珍妙な生きもの達でしょう。

潮の干満の差は、有明海の奥にいくほど大きく、5メートル〜6メートルにもなり、これは断然日本最大です。大潮のときの干潮時には約8,600ヘクタールにも及ぶ干潟が出現します。干潟とは潮が引いたときに現れる海底のドロなのです。地元ではこの干潟を単にガタと呼んでいます。有明海の干潟の大部分は砂ではなくて軟泥干潟です。

なぜ干潟が? その正体

有明海干潟今からおよそ8万年前阿蘇山が大噴火を起こし、地下から噴き出した大量の土砂が九州全体を埋め尽くしました。その土砂は、長い年月を経て風化し、植物質を含み「黒ぼく」と呼ばれる粘土質の泥に変わっていきました。この「黒ぼく」が有明海に注ぐ筑後川をはじめとするいくつもの川によって運ばれ、「有明粘土」と呼ばれるごく小さな粒子(4ミクロン=1000分の4ミリ) の潟泥となって積もっていきました。有明海は内海であり、しかも外洋との連絡口がせまく、その上干満の差が大きいため泥は河口に停滞し堆積していきました。

 

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独特の生きもの達がなぜ有明海だけに?

むつごろう01大陸から日本列島が分離する以前、九州の西方には広い内海がありその沿岸部には現在の有明海と同じように干潟が広がっていたと思われます。そこにはムツゴロウやワラスボ等が棲んでいましたが、九州北部地域が大陸から切り離されていく過程で(やく1万年前)、干潟の残るこの有明海に取り残されてしまったのです。こうした生きものを大陸系遺留種と呼んでおり、彼らは有明海の生い立ちを今に伝える貴重な生き証人?とも言えるのです。

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有明海の珍妙な生きもの達

有明海の生き物エツ|カタクチイワシ科
世界中で有明海だけにしかいない環境庁から指定されている稀少種。有明海でも湾奥部一帯に生息する。5〜8月が筑後川の名物エツ漁の季節で、屋形船でとれたてのエツ料理を肴に盃を傾ける風景は初夏の川辺の風物詩となっている。
小骨が多いので骨切りにして刺身、酢ぬた、唐揚げなどで食べると美味しい。

有明海の生き物ハゼクチ|ハゼ科|方言 ハシクイ ハゼ
日本では有明海と八代海の湾奥部にだけ生息する。マハゼと似てはいるが別種。寿命は1年。
 味は柔らかく淡泊。晩秋から初冬にかけてがもっとも美味しい。

 

有明海の生き物ムツゴロウ|ハゼ科
有明海のシンボル的な存在。柔らかい干潟に穴を掘って棲む。潮が引いたとき巣穴からでてはい廻る。
5〜7月の産卵期にはオスはメスにプロポーズするためにさかんにジャンプを繰り返す。近年著しく減少してきたために有明水産振興センターでは人工増殖をおこなっている。一般的な食べ方は蒲焼き。

有明海の生き物ワラスボ|ハゼ科
ムツゴロウと並ぶ有明海の珍魚。内臓や血管が透けて見えるような紫色のうなぎ状のからだや、むきだしの歯など面構えはグロテスク。
食べ方は、内臓を取り除いて丸ごと干物にし、揚げたり、あぶったりして食べる。ビールのつまみに最高。

有明海の生き物ガザミ|ワタリガニ科|方言 竹崎ガニ ガネ
有明海に棲むカニの代名詞的存在で太良町ではタイラギとならぶ稼ぎ頭。太良町地先で捕れるガザミを特に「竹崎ガニ」と称し、姿がよく確かに美味しい。
料理法は、塩をいれた熱湯でゆでるのが一般的。また甲羅についたミソに熱い日本酒を注いで飲む「甲羅酒」は格別。そのほか鍋物、刺身、味噌汁などでもうまい。

有明海の生き物アゲマキガイ|ナタマメガイ科|方言 アゲマキ チンタイガイ ヘイタイガイ
干潟の中でも岸寄りに穴を掘って棲む。穴の深さは自分の殻の7、8倍もあり、潮の満ち引きによって穴の中を上下に移動している。味は独特の風味があり、バター焼き、塩焼き、煮物、吸い物などにしておいしく、まさに有明海の味がする。
※今日では採貝量が激減し、市場等にも出回っていない状況です。

有明海の生き物ウミタケ|ニオガイ科
海茸と書くが二枚貝である。水管は太く長い。食べるのはこの水管部分で、外見はうす汚れているが内部はきれいな白色である。ねじ棒という独特の漁具でとる。
 料理は、酢ぬたや三倍酢で食べるのもおいしいが、一夜干しをあぶって食べるのが最高にうまい。また粕漬けとしてもおいしい。

有明海の生き物ミドリシャミセンガイ|リングラ科|方言 メカジャ
貝の名前を持つが貝ではなく触手動物腕足類の一種である。数億年前から生存している地球上で最も古い「生きている化石」である。二枚貝は体の左右を殻で覆っているが、これは亀の甲羅のように殻が背中を覆っている。料理は、煮付けて殻から身の部分を煮汁といっしょに吸い出すようにして食べる。いたって珍味。
ちなみに、同じ腕足類にオオシャミセンガイがいるがこれは日本では有明海にだけしか棲んでいない。
                                       

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有明海独特の漁法など

スイタスイタ(押し板、跳ね板とも。最近は潟スキーともいう)
厚さ2センチ程度、長さ2、2メートル内外、幅30センチの杉材の一枚板でムツゴロ釣りやスボ掻きに用いる。干潟のときだけに使用できるもので、干潟の上をこのスイタに片膝を乗せ、残る足で泥を蹴って進む。

四つ手網四つ手網
地元ではジブまたジュブともいう。竹竿をX字形に組んで網を張り、支柱の先端に結わえ付けた縄を上げ下げしてとる悠長な漁法。鹿島市の七浦海岸に見かけるタナジブは海中に設置され、長さ20メートル程の細長い棒状の桟橋で岸とつながっている。

 

ムツつり
干潮時にエサを求めて干潟上に現れたムツゴロウを鈎に引っかけて釣り上げる方法で、竹竿は4,5メートル程度、糸はそれより少し長い。糸の先端には鋭い6本の鈎のついた針が取り付けてある。干潟の上をスイタを使って6メートル位離れた場所まで近づき、針がムツゴロウの少し先に落ちるように投げ、すかさず竿を引き上げひっかける。このほかムツゴロウとりには、板鍬で干潟を掘って捕るホリムツ、ムツの生息孔に竹筒の罠を仕掛けるタカッポがある。

ワラスボ掻き
70センチほどの竹竿に、刀状の反りを持つ60センチ程度の金具(刃)を取り付け、その先端には鋭い鈎がついている道具で泥の中を突き刺して、体の前方から後方に向けて掻き上げてワラスボを引っかけて捕る。

しげあみしげあみ(手押し網の一種)
船の舳先に網底6メートルにも及ぶ大きな三角網を取り付け、潮に向かって網を上げ下ろしして捕る。

 

竹はじ(竹羽瀬、タカハゼ、ハジ網)
定置網の一種で、潮に沿って2000〜3000本のはじ竹をV字形あるいはW字形に立て並べ潮流に流される魚をはじ竹の囲みの奥の袋網に落とし込む。はじ竹の内側にはいった魚は竹にあたる激しい潮流のうなりの音に驚き竹のすき間からはでない。かなり沖合いに仕掛ける。W字形の竹はじは上げ潮引き潮両用である。

アンコウ網
干潮の下げ潮に流される魚を河口の澪筋に仕掛けたこの網で捕る。水面に浮くモウソウ竹と海底に沈む重い樫の木の間に張った網の姿を、アンコウの口になぞらえてこの名がついたという。