21 旧乗田家住宅
平成17年10月7日指定 所在地 古枝(大村方)
旧多良海道の町並みの一角に所在する旧乗田家住宅は、元々は鹿島藩に仕える旧武士の最所家の住まいでした。
建物は木造中2階建て、寄棟造りの平入りです。屋根は茅葺きで、その形状は「クド造り」ですが、一般的なコの字ではなく、一部が張り出たユの字型の形状をしています。東側入口には角釘を用いた式台付玄関があり、庇(ひさし)を支持するために持ち送りが付けられています。間取りは、建物南側にザシキ・ブツマ・ツギノマ・ニシノマ・ナンドなどの部屋を配置し、北側のドマの出入り口には大戸が残り、奥にカマヤが続きます。2階には紡ぎ部屋・物置・コドモベヤがあります。
ザシキには違い棚・付け書院が設けられて、角釘で止めた長押(なげし)は面皮付きで趣があり、天袋には桜花の絵が描かれています。2階の天井は土造で塗り込められていますが、これは養蚕のための断熱性確保のためと考えられます。このほか、庭を囲む丸石野面積みの塀、敷地に残る池や石囲いの畑なども、建物周囲の景観的な要素です。建物の建築年代は19世紀初期と推定され、改変も少なく、建築当初の状態を良く伝えています。
建物は質実で武士らしい表空間が見られる一方で、畑地や比較的広いドマがあり、養蚕を行っていた事も推定されます。これは兵農未分離が特徴であった、在郷武士の生活状況を良く伝えています。旧乗田家住宅は、市内の在方町かつ宿場町に残る、数少ない武家屋敷遺構です。
